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Project / SIDE B 021

  • nonaky2000
  • 2017年12月16日
  • 読了時間: 2分

Photo by Ukyo Koreeda (His FB page)

告白

3年前のあの日、僕は18歳になったばかりで、君はまだ15歳だったと思う。高校最後の大会に負けて、新宿のカラオケで憂さを晴らした帰り道。先に帰ったはずのマネージャーが、僕の降りる駅の改札口に立っていた。夕方の淡白い光に包まれた君が、いまにも泣きそうな顔でニッコリ微笑んだのを覚えている。君は好きですと言い、僕はごめんねと言った。君にとって、たぶん人生で初めての告白だったのだろう。言われた僕だってそうだ。すっかり舞い上がって、君のことはずっと気になっていたのに、よく考えもせずに断ってしまった。君は泣くかと思ったら、妙にすっきりした顔をしていた。やるべきことはやったという感じで。あの日のことを思い返すたびに、君の勇気と素直さが羨ましくなる。いまの僕は、誰かに素直な気持ちを伝えられるだろうか。

[Project SIDE B(B面)とは]

写真家は被写体から何かを感じ取り、その対象をそれぞれの視点で切り取ります。

そこには家族や友達への愛が込められているのかもしれないし、哲学的な意味が

あるのかもしれません。あるいは、単なる感覚的な気まぐれや偶然かもしれない。

それらはすべて、写真家が写真に託した本来の意図として、尊重されるべきもの。

レコードでいうA面です。

一方、このプロジェクト B面では、写真がどのような意図でどう撮られたかを

ほとんど無視します。写真を「見る」側の視点で自由に解釈し、妄想し、

勝手なストーリーを付け加えています。一度世に出た写真は、写真家の本来の

意図から離れ、見る人の感覚や感情に委ねられるもの。楽しげな写真を悲しく

見る人もいるし、その逆もあり得ます。プロジェクト B面は、そうした写真の

特性を逆手にとって、見る側が勝手に物語を紡ぎ始めたら一体どうなるのか、

という実験であり遊びなのです。


 
 
 

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