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Project / SIDE B 024

  • nonaky2000
  • 2018年3月26日
  • 読了時間: 2分

Photo by Ukyo Koreeda (His FB page)

Fragments

5歳まで暮らした町のことを、僕はときどき思い出す。記憶はとても曖昧で、深い霧の中で光る稲妻のように、パッと浮かんでは消えてしまう。

ぐんぐんスピードを増すブランコで、僕は父さんの膝の上に座り、遠くに現れては消える赤い屋根を見ていた。樹液に集まるカナブンを指さして、悲しい顔をした父さんが何かつぶやいていた。

こうした記憶の断片を集めることで、僕は父さんのいた風景をかたち作っていく。粘土細工のようなものだ。父さんと暮らした5年間が、すっかり消えてしまわないように。

それは僕という存在の確かさを、誰かに証明してみせる作業なのかもしれない。でも、そうじゃないのかもしれない。なぜこんなことをしているのか、自分でもよくわからないのだ。

[Project SIDE B(B面)とは]

写真家は被写体から何かを感じ取り、その対象をそれぞれの視点で切り取ります。

そこには家族や友達への愛が込められているのかもしれないし、哲学的な意味が

あるのかもしれません。あるいは、単なる感覚的な気まぐれや偶然かもしれない。

それらはすべて、写真家が写真に託した本来の意図として、尊重されるべきもの。

レコードでいうA面です。

一方、このプロジェクト B面では、写真がどのような意図でどう撮られたかを

ほとんど無視します。写真を「見る」側の視点で自由に解釈し、妄想し、

勝手なストーリーを付け加えています。一度世に出た写真は、写真家の本来の

意図から離れ、見る人の感覚や感情に委ねられるもの。楽しげな写真を悲しく

見る人もいるし、その逆もあり得ます。プロジェクト B面は、そうした写真の

特性を逆手にとって、見る側が勝手に物語を紡ぎ始めたら一体どうなるのか、

という実験であり遊びなのです。


 
 
 

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