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Project / SIDE B 019

  • nonaky2000
  • 2017年12月1日
  • 読了時間: 2分

Photo by Kentaro Kamata (His FB page)

エコー・スティービーの楽園

わが友、スティーブ・オルブライトの話をしよう。またの名をエコー・スティービー。出身はニューサウスウェールズって言ってたな。ある時フラリとこの町にやってきて、1年後にフラリと出ていったよ。スティービーは人気者だった。口を開けば冗談ばかりで、料理の腕前はダン・ハンター並み。もちろんサーフィンもプロ級さ。でも、スティービーは時々おかしくなることがある。ハンバーガーを食べてる時、ステフといいムードになってる夜、パドリングの最中……。急に悲しそうな顔になって、「声が聴こえる」とか呟きだす。それでエコーってあだ名が付いたんだけど、奴に言わせれば本当に海の声が聴こえるんだそうだ。胸を締めつけられるような、悲しみの声がね。スティービーが出ていった後、俺たちはよく話したものさ。あいつは悲しい声の聴こえない、本当のパラダイスを探して旅してるんじゃないかってね。

[Project SIDE B(B面)とは]

写真家は被写体から何かを感じ取り、その対象をそれぞれの視点で切り取ります。

そこには家族や友達への愛が込められているのかもしれないし、哲学的な意味が

あるのかもしれません。あるいは、単なる感覚的な気まぐれや偶然かもしれない。

それらはすべて、写真家が写真に託した本来の意図として、尊重されるべきもの。

レコードでいうA面です。

一方、このプロジェクト B面では、写真がどのような意図でどう撮られたかを

ほとんど無視します。写真を「見る」側の視点で自由に解釈し、妄想し、

勝手なストーリーを付け加えています。一度世に出た写真は、写真家の本来の

意図から離れ、見る人の感覚や感情に委ねられるもの。楽しげな写真を悲しく

見る人もいるし、その逆もあり得ます。プロジェクト B面は、そうした写真の

特性を逆手にとって、見る側が勝手に物語を紡ぎ始めたら一体どうなるのか、

という実験であり遊びなのです。

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