Project / SIDE B 012
- nonaky2000
- 2017年10月28日
- 読了時間: 2分
Photo by Ukyo Koreeda (His FB page)
蒟蒻の味
東京へと帰る新幹線で、代わり映えのしない田舎の風景を眺めながら、新一は幕の内弁当の包みを開く。割り箸はうまく割れずに、片方の先が尖ってしまった。小さな梅干しを口に含んで、白いご飯をゆっくりと咀嚼する。車窓の風景はなおも変わらず、田んぼと畑と工場と住宅と。置き残してきた思いがふと脳裏をかすめ、これからのアレコレを案じて溜息をつく。誰かとともに生きることは、別の誰かとともに生きないことを意味する。だからといって何が悪いわけでもなく、そのようにして人生は過ぎていくのだろう。そうわかってはいても、やっぱりどこか後ろめたい気持ちになって、新一は甘辛く煮た蒟蒻を噛みしめる。
[Project SIDE B(B面)とは]
写真家は被写体から何かを感じ取り、その対象をそれぞれの視点で切り取ります。
そこには家族や友達への愛が込められているのかもしれないし、哲学的な意味が
あるのかもしれません。あるいは、単なる感覚的な気まぐれや偶然かもしれない。
それらはすべて、写真家が写真に託した本来の意図として、尊重されるべきもの。
レコードでいうA面です。
一方、このプロジェクト B面では、写真がどのような意図でどう撮られたかを
ほとんど無視します。写真を「見る」側の視点で自由に解釈し、妄想し、
勝手なストーリーを付け加えています。一度世に出た写真は、写真家の本来の
意図から離れ、見る人の感覚や感情に委ねられるもの。楽しげな写真を悲しく
見る人もいるし、その逆もあり得ます。プロジェクト B面は、そうした写真の
特性を逆手にとって、見る側が勝手に物語を紡ぎ始めたら一体どうなるのか、
という実験であり遊びなのです。






















コメント